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デュヴィヴィエのこと、そして『映画監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ』 (国書刊行会)
ジュリアン・デュヴィヴィエのこと、
そして『映画監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ』(小林隆之・山本眞吾著)【国書刊行会】


「枯葉」「愛の讃歌」「バラ色の人生」「暗い日曜日」「パリのお嬢さん」…
日本でも親しまれているシャンソンの名曲はたくさんあると思います。
私が大好きなシャンソンの曲はやはり観たことのある好きな映画の想い出に繋がります。
「わが心の森には」(映画『リラの門』)、「サンジャンの私の恋人」(映画『終電車』)、「残されし恋には」(映画『夜霧の恋人たち』)、「あの人はどこに」(映画『望郷』)…
なかでも『巴里祭』、『巴里の屋根の下』、『巴里の空の下』は大好きでたまらない曲であり映画になります。
(先日、ブログをよく拝見させてもらっているシャンソン歌手の方が『巴里祭』を歌ってあり久しぶりに聴くことが出来て懐かしくて嬉しくて素敵で堪能しました。)

シャンソン『巴里の空の下』は長崎県民にとってはNBCテレビで毎週土曜の夕方に5分間放送されている「眼鏡のコクラヤ」提供の「コクラヤギャラリー」(万屋店にあります)のバックで流れる曲として曲名は知らなくても誰もが一度は耳にしたことがあるおなじみの曲になります。

作詞ジャン・ドレジャック 作曲ユベール・ジローのこの曲は「パリ2千年祭」を記念してパリ市当局が依頼して作られた映画『巴里の空の下セーヌは流れる』の主題曲にもなります。
(映画のなかではセーヌの河畔でピクニックをしている家族の前でアコーディオンの流しが歌います。記憶があいまいで間違っているかもしれません。もう一曲「巴里の心臓」というシャンソンも使われていたそうですが全く覚えていません)

学生時代、体が震えるくらい感動した映画がいくつかありますが高校時代にテレビで観る事ができたこの映画は私にとってはその一本になります。
《寝静まったパリの街の上を運命の神が巡回しはじめた。さあ、我々は運命の神の後について、その触手に捕らえられるパリジャンたちの1日の生活を眺めてみよう…》
印象的なナレーションから始まるこの映画はセーヌ河区域を舞台に複数の男女の一日が描かれます。
登場人物のエピソードが並行して綴られていきますが彼らは運命の糸によって結ばれていておりそれぞれの人生が交錯してドラマが生まれ彼らの運命が動き出して行く…

最初に観たデュヴィヴィエの映画ということもあるでしょうが巧みな話術、ユニークな構成にはびっくりさせられましたし圧倒されました。
オムニバス映画の名手といわれたデュヴィヴィエですが普通のオムニバス映画がエピソードが縦に並べられて構成されているのに対してこの映画はエピソードが横に並行して進行していきそのエピソードが点で繋がっているという構成で(うまく表現できませんが)観ていてすごいなあと興奮しました。
幸福な人、不幸な人と様々な人が描かれていますが本当の主役はそういう多くの人が暮らしている『パリの街』そのものだと思います。
また内容も運命とか人生とかいろいろなことを考えさせられる映画でした。


それまでもフランス映画は観たことはありましたがアメリカ映画、日本映画とは違う映画がある。《これがフランス映画なんだ》と意識した最初の映画でした。
(30年くらい昔に一度観たきりなので今、観直すとどう思うかはちょっと不安ですが…)

それからテレビやビデオなどでデュヴィヴィエの映画は少しずつですが観ることができました


ジュリアン・デュヴィヴィエは1896年生まれで、ジャック・フェデール、ジャン・ルノワール、ルネ・クレールと並ぶ4大巨匠、そして少し後の世代になるマルセル・カルネを入れてこともあると思いますが戦前、戦後とフランスを代表する映画監督の一人になります
日本では戦前は特にデュヴィヴィエの人気は高くて有名な映画評論家のジョルジュ・サドュールが「東洋の一小国だけにおいてのみ熱烈な観客がいる」と述べているほどです。
私も10数本しか作品は観ていませんが大好きでたまらない映画がいくつかある忘れられない監督さんです。
(他の監督もジャック・フェデールはあまり観ていなくてよくわかりませんがルノワール、クレール、カルネも大好きでたまらない映画がいくつかある忘れられない監督になります。)


私が映画を観始めた1970年後半くらいはデュヴィヴィエの映画は戦前の作品を中心に、昔の名作としてテレビで放送されることはあってもあまり注目されることはもうなかったと思います。
デュヴィヴィエが1967年に亡くなっていたこともあるでしょうし映画の革命と言っていいヌーヴェル・ヴァーグの影響が大きかったかもしれません。
日本では戦前のいくつかの作品は別としても通俗的でなんでも器用に撮っていた商業監督して認識され批評の対象になったり、再び見直されたり再評価されることはあまりなかったのではないかと思われます。



ただやはり若い頃ににデュヴィヴィエの映画を観たり人たちはデュヴィヴィエの映画は忘れられない人が多いようです。
古くなりますが1988年発行の「大アンケートによる洋画ベスト150」(文藝春秋社)では映画監督としては第三位に。
作品としては「望郷」(12位)、「舞踏会の手帳」(34位)、「地の果てを行く」(92位)、「商船テナシチー」(121位)の4本が150以内ににランクインしています。
(今、このように大アンケートをとると監督としてのデュヴィヴィエや彼の映画がはたして何位になるか興味はあります、おそらくあまり票は集めないような気がします。)

また和田誠さんもある週刊誌のアンケートの監督ベスト10の一人に挙げられいるそうで「たかが映画じゃないか」(文春文庫 和田誠・山田宏一著)のなかで自分にとって青春時代に重要な人だったと述べられ、「旅路の果て」をベスト作として高く評価されています。
和田さんと三谷幸喜さんの対談集「それはまた別の話」(文芸春秋社)では一本の映画について深く掘り下げて語られているとても面白い本ですがその中の一本として『舞踏会の手帳』が取り上げられています。



『映画監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ』の著者である鉱山技師をされていた小林隆之さんという方は1947年、22歳のときに『舞踏会の手帳』『望郷』を観てフランス映画に、デュヴィヴィエの映画に夢中のなったという、やはり若かりし頃に大きな影響を受けた一映画ファンになります。

デュヴィヴィエの映画に熱狂し、スクラップブックに丹念にデュヴィヴィエに関する記事を集めたり、私家版で本を出版したりされたり、墓参りしたり、デュヴィヴィエの息子さんと親交を持ったりとデュヴィヴィエ、デュヴィヴィエの映画に情熱を傾けた方だったようです。
デュヴィヴィエに対する日本での現状を憂えて編集者、ライターであった山本眞吾さんに「デュヴィヴィエの本を作れないか」と相談を持ちかけ紆余曲折の末、この『映画監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ』は完成しています

この本では、デュヴィヴィエが処女作をとるまで、そしてサイレント時代の21本(全て日本未公開)、トーキー時代の44本(日本未公開は4本)の全てについてスタッフ・キャストを含めた概説、映画の内容、フランスでの評価、日本での評価などが詳細に掲載されています。

この本はただただすごいと思います。全ての監督作品が網羅されている文字通りデュヴィヴィエの辞典です。

まず素晴らしいのはサイレント作品について取り上げていることです。
デュヴィヴィエのサイレント時代の映画は全て未公開作品ですし、注目すべき作品や観るべき作品はあまりないという感じで語られることが多くサイレント映画時代にどういう作品があるかは殆ど知る機会はなかったと思います
またデュヴィヴィエの出世作に『にんじん』がありますがサイレンと時代にも作っていることなども初めて知りました

また彼は『グレート・ワルツ』で初めてフランスを離れハリウッドで撮りますが、その前にも数度、ハリウッドから招かれていたこと、『望郷』のリメークをハリウッドで監督する予定だったことなど、知らないことがたくさん出て来て、大変興味深くて面白いです。

また巻末にフィルモグラフィーも作成してあり監督作品だけでなく脚本作品、ノン・クレジットの作品も掲載されているのは嬉しいです

そしてこの本で初めて知りましたが母国フランスではデュヴィヴィエの生誕百周年の1996年にシネマテークで26作品の公開されているそうです。
他にも雑誌での特集号の発行、2冊の本が発行などデュヴィヴィエの復権の動きが最近はあるようです。

2010年に日本でこういうデュヴィヴィエの本が出版されることはとても画期的なことだと思います。
この本がどの程度読まれ、反響があったかはよくわかりませんがこの本が一つの契機、小さいかもしれませんが波になるのではと思います
大好きで尊敬する監督、俳優…など映画人の復権を願い一人の熱狂的な映画ファンの手によってこうした本ができる。
この本は映画ファンとしては一つの理想、夢のような気がします
私も程遠いですがこのブログでそんなことがほんの少しでもできたら…と思ってはいます。

ただこの本が完成する(2010年)前、編集の途中で著者の小林さんは2008年に他界されていたそうです
本の完成を見ず亡くなってしまった小林さんは無念だったでしょうがその意志を引き継ぎ本を完成出版させた山本さんにはただただ頭が下がります。
小林さんはもちろんですがデュヴィヴィエもきっと喜んでいることと思います
この本が誕生するまでの経緯、小林さん・山本さんの情熱・執念が書いてある「まえがき」と「あとがき」だけでも読むと感動します


デュヴィヴィエの映画を考えるとき、ミステリー・サスペンス作品が多いことにも注目したいです
ミステリーやサスペンスが好きなものとしては忘れてはいけないと思います
『モンパルナスの夜』『殺人狂想曲』『殺意の瞬間』『自殺への契約書』『火刑の部屋』『めんどりの肉』『悪魔のようなあなた』…とシムノンやジェームズ・ハドリー・チェイス、ジョン・ディクソン・カーなど著名なミステリー作家の映画化もありますし、オリジナル脚本の作品もあります。

私はそのなかでは『殺人狂想曲』と『自殺への契約書』しか観ていませんが故淀川長治さんはデュヴィヴィエの映画はあまりお好きではなかったようですが名人は名人と認めてあり『殺意の瞬間』を高く評価されています。
サスペンス・ミステリーの監督という視点から見直すことができるかもしれません。
巻き込まれタイプの『殺人狂想曲』も主演のフェルナンデルの個性を生かしてあり面白いですし、後味は少し悪いですが『自殺への契約書』は画面の構成、伏線の張り方など素晴らしいと思います

また『トラウマ映画館』(町山智浩著・集英社)という面白い本がありますがそのなかでは『わが青春のマリアンヌ』というとてもとても観たいデュヴィヴィエの映画が取り上げられています。
他にはアメリカ時代の最高傑作と言われている燕尾服にまつわるオムニバス映画『運命の饗宴』やルイ・エモンの原作がとても良かった『白き処女地』などもとても観てみたい映画が他にもたくさんあります。

サスペンス・ミステリーの他にもコメディ映画、宗教映画・文芸ドラマ…などいろいろな映画を撮っている人で私達はその足跡の一端しか知らないと思います。
この本が再評価、復権に繋がることを祈りたいです。


*私が観ているデュヴィヴィエの映画は
『にんじん』、『アンリエットの巴里祭』、『望郷』、『舞踏会の手帳』、『グレート・ワルツ』、『旅路の果て』、
『我等の仲間』、『陽気なドンカミロ』、『自殺への契約書』、『埋もれた青春』、『巴里の空の下セーヌは流れる』
『アンナ・カレニナ』、『ゴルゴダの丘』、『奥様ご用心』、『フランス式十戒』 になります。

(『アンリエットの巴里祭』はオードリー・ヘップバーン、ウィリアム・ホールデン主演のリチャード・クワイン監督作品の『パリで一緒に』のオリジナルです。これも『巴里の空の下セーヌは流れる』同様、本当の主役はパリの街かもしれません。洒落ていて面白くデュヴィヴィエの話術が堪能できる映画です。
この映画ではじめてヒルデガルト・クネフを観ることができて嬉しかったです)


なお遅れていますが『グレート・ワルツ』について書ければ…と思ってはいますが書く際はこの本を参考にして書くことになると思います
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