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『ラジオ・デイズ』(Radio Days)(1987年)~クルト・ワイル~
『ラジオ・デイズ』(1987年)~クルト・ワイル~

昨年(2014年)のアカデミー賞ではウッディ・アレン監督の『ブルージャスミン』が主演女優賞、助演女優賞、脚本賞にノミネートされケイト・ブランシェットが受賞しましたね。
また今年は受賞はなりませんでしたがクリント・イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』は6部門ノミネートされました。学生時代から作品を観ていた映画監督が今も現役として第一線で活躍しているのは嬉しいことですし本当にすごいことだと思います。


私がウッディ・アレン監督の映画作で一番はじめに観た映画は『スリーパー』、イーストウッドは『アウトロー』でした。
どちらも好きな映画でしたが当時はまさか二人がこんなに息の長いアメリカを代表するようなすごい監督になるとは想像できませんでした。

ウッディ・アレンの映画は私は学生時代に『カイロの紫のバラ』を観に行って大感激した想い出があります。
最近の作品は全く観てなくて私にウッディ・アレンの映画を語る資格はありませんが「カメレオンマン」、『アニーホール』、『ハンナとその姉妹』、『マンハッタン』、『ブロードウェイのダニーローズ』…と80年代頃の作品が私は大好きです。

『ラジオデイズ』は『カイロの紫のバラ』と並んで特に好きな映画になります。
どちらともウッディ・アレン映画の入門書と言っていいような、とてもわかりやすくてそしてウッディ・アレンの、登場人物への愛情が感じられる優しさにあふれた素敵な映画です。
彼の映画があまり好きでない人、観たことがない人でも素直にその世界に入っていける…そんな映画ではないかと思います。


『ラジオ・デイズ』は昔に一度観たきりだったのですが《セプテンバーソング》が流れていたことは覚えていたのでも是非、もう一度観てみたい!と思っていました。
探していたのですがレンタル店には置いてなくてアマゾンで購入してようやく再見できました。
(私が見落としているのかもしれませんがウッディ・アレンの映画はあまりレンタル店に置いてなくてびっくりしました。若い人は彼の映画はあまり観ていないのかもしれませんね)

クラリネット演奏など音楽好きとしても知られるアレンですがこの『ラジオ・デイズ』では数多くの曲が使われています。
ジャズや懐かしいアメリカの音楽が好きな人はこれらの曲を聴くだけでも観る価値がある映画だと思います。
そのなかでも《セプテンバー・ソング》はウィリアム・ディターレ監督の『旅愁』はこの曲がなければ成立しなかったように『ラジオ・デイズ』でもワイルの《セプテンバーソング》は数多くの曲のなかでも特別な、要のような音楽になっています。


《セプテンバー・ソング》は冒頭、中盤、そしてラストと3度、映画の中で流れます。
ナレーションを担当しているウッディ・アレンの言葉と共に深い余韻を残します
冒頭では
《…場所はロックウェイ。 僕の少年時代。 少し昔を美化しそうですがお許しください。
別にいつも雨降りだったわけでなく、ただ雨の風景が美しく記憶に残っているのです…》
雨が降る海沿いの街並みが映画に映し出され「セプテンバー・ソング」が流れ出します。
中盤では
家でラジオを聴こうと帰宅した仲間たちと別れた主人公の少年が一人、海岸を歩きながら
セプテンバーソングの曲のなか
《…僕は帰りませんでした。何だか妙な気分で、ただ大西洋を眺めていたのです。
漠然と、人生のこと、女性のことを、考えていたのです。…》

そしてラストでは物珍しさもあってナイトクラブの屋上に集まっていた客が雪が降り出し屋内に戻ったあと、曲が流れ出します
《忘れられない新年です。 ビーおばさんに起こされて観た1944年はね。あの人たちも忘れないし、ラジオで聞いた懐かしい声も…でも現実は年が過ぎ去って行くにつれ、あの声、この声が次第に薄れて行きます…》

《セプテンバーソング》の曲は『ラジオ・デイズ』がつくられた1987年のウッディ・アレン(当時52歳)と映画で描かれた1943年~44年とを橋渡しする重要な役割を果たしているように思われます。

映画ではラジオが今のテレビのように家族の話題・団欒の中心であった時代、1943年から1944年の1月1日までを聴き手側のラジオが大好きな少年とそのユダヤ人の一家の物語を軸に、ラジオスターを夢見るナイトクラブに勤める女性を中心とするラジオを放送する側の話も絡めながら描いていきます
有名なオーソン・ウェルズのラジオ劇『火星人襲撃』のエピソードや少年が叔母とその恋人と共にジェームズ・スチュアートとキャサリン・ヘップバーン、ケ-リー・グラント主演の『フィラデルフィア物語』(後にリメイクされた映画が『上流社会』になります。)を見に行くシーンが入ったりといろいろなエピソードがちりばめられいて興味深いです



この映画を見直して映画の素晴らしさも再確認できましたが、改めて《セプテンバー・ソング》という曲の魅力も再確認できました。
『ラジオ・デイズ』のなかでは演奏のみになりますがマクスウェル・アンダーソンの詩も素晴らしいですし美しい旋律ですがどことなく翳があり心に残り魅了されます。
これまでの自分を振り返る曲ですが残りの人生を思う曲でもあります。

セプテンバーソングの曲がつくられたのは1938年前後なのですが作詞を担当したマクスウェル・アンダーソンが当時50歳、クルト・ワイルが38歳になります。
ワイルは50歳の誕生日を目前に1950年に亡くなります。
そしてアレンは50歳を過ぎて、それまでの自分を振り返り、自分にとって懐かしい大切な時代を、大好きな思い出深い曲を使いながら、この映画で描いてたのかもしれませんね。

アレンはラストシーン近くでナイトクラブの屋上で新年のお祝いで浮かれているはずの登場人物に次のような台詞をしゃべらせています
《…過ぎ去った年はどこへ行くの 光陰矢の如し年を取るね 人生もわからないまま
未来の人たちは僕らのことを知るだろうか 何も知るまい
時と共に全てが消えていく
今はどんなに有名で、もてはやされようとね… 》


ドイツ系のユダヤ人の家に生まれたアレンはユダヤ系のドイツ人クルト・ワイルに親近感を抱きその曲が好きだったのかもしれません。
『ラジオ・デイズ』の5年後、ワイルのドイツ時代の代表作『三文オペラ』の曲を『ウッディ・アレンの影と霧』で使っています

『影と霧』はあとで取り上げる予定です
《セプテンバー・ソング》、『旅愁』、『ラジオ・デイズ』と折に触れて聴きたい曲や見直したい映画です。





「ラジオ・デイズ」(アメリカ 89分)
監督・脚本・ナレーションウッディ・アレン 製作ロバート・グリーンハット 音楽ディック・ハイマン 撮影カルロ・ディ・パルマ
出演 セス・グリーン ミア・ファロー ダイアン・ウィースト ジュリー・ガウナー

『ラジオデイズ』で使われた曲
(他にもあるかもしれませんし、スペルとか間違っているかもしれません、題名も知っている曲が1割ちょっと、聴いたことがある曲が3割くらいになります)
「The Flight of The Bumblebee」
「Dancing In The Dark」(ダンシング。イン・ザ・ダーク)
「Chinatown,My Chinatown」(チャイナタウン・マイ・チャイナタウン)
「Let's All Sing Like The Birdies Sing」
「September Song」(セプテンバー・ソング)
「Body and Soul」(身も心も)
「In The Mood」(インザムード)
「Radio Show Themes」
「I Double Dare You」(アイ・ダブル・デア・ユー)
「You're Getting To Be A Habit With Me 」
「La Cumparsita」
「Carioca」(カリオカ)
「Tico Tico」(チコチコ)
「Begin The Beguine」(ビギン・ザ・ビギン)
「Opus One」(オーパス・ワン)
「Frenesi」(フレネシー)
「All Or Nothing At All」
「The Donkey Serenade」(ドンキー・セレナーデ)
「You And I」(ユー・アンド・アイ)
「Paper Doll 」 (ペーパー・ドール)
「Pistol Packin Mama」
「South American Way」(サウス・アメリカン・ウェイ)
「Mairzy Doats」
「If You Are But A Dream」(イフ・ユー・アー・バット・ドリーム)
「IIf I Didn't Care」
「Schloff mein Kind」
「I Don't Want To Walk To Walk Without You」
「Remember Pearl Harbor」(リメンバー・パール・ハーバー)
「Babalu」
「They're Either Too Young or Too Old 」
「That Od Feeling」(ザット・オールド・フィーリング)
「Re-Lax Jingle」
「The White Cliffs of Dover」(ドーヴァの白い崖)
「Goodbye」(グッドバイ)
「I'm Gettin' Sentimental Over You」(センチになって)
「Lullaby of Broadway」(ブロードウェイの子守唄)
「American Patrol」(アメリカン・パトロール)
「Take The 'A' Train」(A列車で行こう)
「You'll Never Know」
「One,Two,Three,Kick 」 (ワン、ツー、スリー、キック)
「Just One Of Those Things」
「You'd Be So Nice To Come Home To」
「Night and Day 」(夜も昼も)
「Auld Lang Syne」(蛍の光)

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「街の風景/STREET SCENE」~クルト・ワイル~
「街の風景/STREET SCENE」~クルト・ワイル~

エルマー・ライスによる1929年の戯曲を原作とした1947年、発表のブロードウェイミュージカルになります。
作曲 クルト・ワイル
作詞 ラングストン・ヒューズ
脚本 エルマー・ライス
演出 チャールズ・フリードマン
振付 アナ・ソコロフ
出演 ノーマン・コードン アン・ジェフリーズ ポリーナ・ストスカ ブライアン・サリヴァン ホープ・エマーソン
曲名 「ちょっと信じられなかった」(Somehow I Never Could Beieve)  「アイスクリーム」(Ice Cream) 「リボンの蝶むすびで飾られて」(Wrapped in a Ribbon and Tied in a Bow) 「ブロドウェーイに出たくないか?」(Wouldn`t You Like to Beon Broardway?」 「お月さまが何なのさ」(What Good Would the Moon Be?〉 「顔は月 目は星」(Moon-Faced、Starry-Eyed)、「私の気持ちを忘れないで」(Remember That I Care)、「一緒に出て行こう」(We`ll Go Away Together)
1947年初演 アデルフィー劇場 148回公演

エルマー・ライスの戯曲はピューリッツァー賞戯曲部門を受賞した作品で有名な作品になるようです。
戦前から日本でも知られていて翻訳もされ1932年には日本で舞台で演じられていたそうです
クルト・ワイルがミュージカル化する前の1931年にはキング・ヴィダー監督で映画化されています。
エルマー・ルイスは「スイング・ホテル」の脚本を書いています

「街の風景」
監督 キング・ヴィダー
原作・脚本 エルマー・ライス
撮影 グレッグ・トーランド ジョージ・バーンズ
音楽 アルフレッド・ニューマン
出演 シルヴィア・シドニー ウィリアム・コリアー・ジュニア マックス・モンター
主要キャストはロサンゼルス公演の主要キャストをほぼそのまま受け継いでいるそうです。
映画もほぼ原作に忠実だそうです。
スタッフはすごいメンバーです。
監督のヴィダーはサイレント映画の時代から活躍している巨匠・名監督です。
私が観ているのはオードリ・ヘップバーン主演の「戦争と平和」や「白昼の決闘」「摩天楼」など数本の作品になります。サイレントの作品は「群集」だけ観ています。「チャンプ」のオリジナル版や先日亡くなった山口淑子が出演した「東は東」とか監督しています。
機会があれば作品を観てみたい監督さんです。
シルヴィア・シドニーが主演です。
シルヴィア・シドニーはクルト・ワイルが関係している映画に出演しているのでそのときに書けたら…と思っています。
この「街の風景」はDVDが発売されています。

また1979年にもカーク・ブラウニング監督、ジャニス・フェルティ、モーリーン・フラハティ主演で再映画化されています。

「街の風景」はワイルがブロードウェイで発表した作品のなかで一番オペラ的な作品になるそうです
「アン・アメリカン・オペラ」と銘打って上演されています
物語はブルックリンのアパートの入口付近だけで展開されるそうです。
暑くけだるい夏のアパートの住民の人生模様を描く群像劇で内容としてもやはりアメリカンオペラの「ポーギーとべス」の白人版に置き換えたような設定になるようです。

*「ブロードウェイ・ミュージカル」(スタンリー・グレイ著)、「私たちは20世紀に生まれた」(ブログ)他を参考にしました。

 
『ラブ・ライフ』(LOVE LIFE)~クルト・ワイル~
『ラブ・ライフ』(LOVE LIFE)~クルト・ワイル~

クルト・ワイルが1948年にアラン・ジェイ・ラーナーと組んで発表したブロードウェイミュージカルになります。
作曲 クルト・ワイル
作詩 アラン・ジェイ・ラーナー
製作 チェリル・クローフォード
演出 エリア・カザン
振付 マイケル・キッド
出演 ナネット・ファブレイ レイ・ミドルトン ジェニー・ステュワート シェリル・アーチャー ジェイ・マーシャル

曲 『私はここに残る』(Here I‘ll Stay) 『進歩』(Progress) 『よく覚えている』(Remember It Well)
  『緑のはえる頃』(Green-Up Time) 『経済学』(Economics』 『ミスター・ライト』(Mr Right)
ニューヨーク公演 46Th Strggt劇場 1948年 252回公演

出演者では私はナネット・ファブレイしか知りません。
彼女はフレッド・アステア主演の映画『バンド・ワゴン』ではオスカー・レヴァントとの夫婦役でした。
『バンドワゴン』の脚本を担当していたベティ・コムデンとアドルフ・グリーンの二人が自分達をモデルとして創り出したような役柄でしたがとても良かったと思います。
私は『バンド・ワゴン』はものすごく大好きな映画になります。
彼女はおそらくブロードウェイなど舞台を中心に活躍した女優さんなのでしょう。私は『バンド・ワゴン』しか観ていません。

演出はエリア・カザンですね。『エデンの東』、『波止場』、『欲望という名の電車』…映画監督として大変有名な人ですが元々はブロードウェイの演出家として有名な人でした。

振付はマイケル・キッド。
『バンド・ワゴン』、『略奪された七人の花嫁』、『カンカン』など映画の振付でもおなじみの人です
出演者としても『いつも上天気』のジーン・ケリーとダン・デイリーとの三人のGIは最高に素晴らしかったです。
『いつも上天気』もものすごく大好きな映画になります。
この映画はビデオやDVDが発売されていないように思います。なにか理由があるのでしょうがとても残念です
私は学生時代に一度テレビで観たきりです。

冒頭での酒に酔った3人が夜の街を踊りまわるシーン。
ジーン・ケリーがローラ・スケートで「I Like Myself」を歌いながら踊りシーンとか忘れられないシーンがいくつかあります。
人生の苦味も感じさせる素晴らしい映画です。
一番好きなミュージカル女優のシド・チャリシーもヒロインとして出演していますし是非もう一度観てみたい映画です。



『ラブ・ライフ』の作詞を担当したアラン・ジェイ・ラーナーは作曲家のフレデリック・ロウとのコンビで有名です。
二人のコンビ作では『マイ・フェア・レディ』がたぶん一番有名ですが他にも『恋の手ほどき』、『ブリガドーン』、『星の王子様』、『キャメロット』、『ペンチャー・ワゴン』とほとんどの作品が映画化されて私達も見ることができます。
『巴里のアメリカ人』や『恋愛準決勝戦』などのミュージカル映画の脚本や映画化された『晴れた日は永遠が見える』なども手がけています。

ラーナーはアーサー王伝説(『キャメロット』)、西部劇(『ペンチャーワゴン』)、古き懐かしい佇まいがするロンドンやパリを舞台にした少女がレディへと成長していく『マイ・フェア・レディ』と『恋の手ほどき』。100年に一度出現する伝説の町に迷い込むハンターの物語(『ブリガドーン』)、何回も転生した不思議な能力を持つヒロインと彼女に催眠療法をする精神科医との物語(『晴れた日は永遠が見える』)など過去を描くことにこだわった人だと思います。
作曲家のフレデリック・ロウと共にブロードウェイ・ミュージカルの歴史に残る重要な人だと思います。
そしてミュージカル映画にも多大な功績があるミュージカル映画史に残る人でもあると思います。
彼はミュージカルの歴史を描いた『ミュージカル物語』という本を書いていて翻訳もされています。
私は読んだことがありません。読んでみたくなったので是非、探してみようと思います



 スタンリー・グリーン著の『ブロードウェイ ミュージカル』によりますと『ラブ・ライフ/LOVE LIFE』は1791年から現在まで年をとらない夫婦とその二人の子供たちを主人公にアメリカ人の生活や人間関係が変化していく様子を描いた作品になるそうです。(具体的にどういう内容なのか一度観て観たい作品です)
ロングランを続けるヒット作品になる企画ではなかったがそうですが音楽の使い方や起承転結という筋立てでなく場面場面に作者の視点を込めたヴォードヴィルでつなぐ工夫がされていて『シカゴ』や『コーラスライン』など後のミュージカルに影響を与えた画期的な作品になったいるです。
ワイルの音楽はドイツ時代初期の作品のように登場人物や画面の描写になっているそうです

ワイルはブロードウェイで様々な人とコンビを組んだり幅広い題材を取り上げたり構成もいろいろと工夫しながらミュージカルの可能性を見つけようとしていたようです。

*『ブロードウェイミュージカル』(スタンリー・グリーン著)を参考にしています
闇の中の女(レディ・イン・ザ・ダーク)~クルト・ワイル~
闇の中の女(レディ・イン・ザ・ダーク)

ウィリアム・アイリッシュのミステリーのような題名ですがクルト・ワイルが作曲を担当しているブロードウェイのミュージカルになります。
作詞はアイラ・ガーシュインで作詞家として有名な人です。
『ラプソディ・イン・ブルー』、『ボギーとべス』などで有名な作曲家ジョージ・ガーシュインのお兄さんになります。
作詞アイラ&作曲ジョージのコンビは『アイ・ガット・リズム』、『スワンダフル』、『ファニー・フェイス』…数々の名曲がありミュージカル映画他でもおなじみです。
アイラ・ガーシュインはジョージ・ガーシュインの死後はワイルやジェローム・カーン、ハロルド・アーレンなどの有名な作曲家と作品をつくっています


この作品の脚本はモス・ハートになります。
モス・ハートは劇作家・脚本家・演出家としてブロードウェイやハリウッドでも活躍しています。
『ブロードウェイミュージカル』(ヤマハ出版)によりますとモス・ハートは最初はミュージカルではない普通のストーレートプレイの劇を考えていて主演をキャサリン・コーネルに考えていたそうですがワイルとガーシュインが参加することになりミュージカル化と大幅に変更され主演もガートルード・ローレンスに変更になったそうです。

ガートルード・ローレンスはブロードウェイミュージカルの女優さんとして有名です。
私は名前だけ知っている女優さんになります。
彼女の伝記映画が『サウンド・オブ・ミュージック』(1959年初演・1965年映画化)のロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演のコンビの『スター!』(1968年)になります。(私は未見ですがあまり評判はよくないようです)
『サウンド・オブ・ミュージック』が好きなものとしてはとても気になる映画ですが…

ガートルードは『アンナとシャム王』の原作・映画(1946年・ジョン・クロムウェル監督、アイリーン・ダン、レックス・ハリスン主演)を読み、観て自分が主役になる題材と確信してコール・ポーターにまず打診して断られそしてリチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世に頼み込んでミュージカル化に漕ぎ着けています。
ガートルード・ローレンスがミュージカル『王様と私』(1951年初演・映画化1956年)誕生の立役者になります。
ただアンナを演じたローレンスが病気のため、初演から1年半あまり経った1952年に亡くなったこと。
そして王様に抜擢されたユル・ブリナーがその強烈な個性で、映画にも出演していることもあり『王様と私』というと映画も舞台もユル・ブリナー!というイメージがあります。
なお映画ではデボラ・カーがアンナ役を演じています

《闇の中の女》
作曲 クルト・ワイル
作詞 アイラ・ガーシュイン
脚本 モス・ハート
製作 サム・H・ハリス
演出 ハサード・ショート モス・ハート
振付 アルバーティナ・ラッシュ
出演 ガートルード・ローレンス ヴィクター・マチュア→ウィラード・パーカー ダニー・ケイ→エリック・ブラザーソン マクドナルド・カーリー→ウォルター・コイ バート・ライテル→ポール・マグラス イバリン・ワイコフ マーガレット・デイル ロン・フィールド 
曲名 『人生は一人きり』(One Life to Live) 『その時の少女』(Girl of the Moment) 『これは新しい』(This Is New) 『純粋なる喜びの王女』(The Princess of Pure Delight) 『私の船』(My Ship) 『ジェニー』(Jenny) 『チャイコフスキー』(Tschaikowsky)
アルヴィン劇場(ニューヨーク) 1941年初演 467回公演

なおこの作品も映画化されています
1944年の『レディ・イン・ザ・ダーク)』は監督がミッチェル・ライぜン。
そしてジンジャーロジャースとレイ・ミランド主演で映画化されています
この映画は日本未公開ですがアカデミー賞の美術賞にノミネートされています。
受賞はヘンリー・キング監督の『ウィルソン』(ヘンリー・キング監督・日本未公開)です
アメリカ28代大統領ウッドロウ・ウィルソンを描いたカラー映画のようです。
知りませんでしたがその頃はアカsデミー美術賞はモノクロ部門とカラー部門に分かれていたようでモノクロ部門は有名な『ガス燈』(ジョージ・キューカー監督)が受賞しています。
面白いことに同じミッチェル・ライゼン監督の『淑女と拳骨』がモノクロ作品でノミネートされています
(ミッチェル・ライゼン監督の作品は観たことがなのですが興味を惹かれる監督さんです。取り上げることができれば…と思っています。)

挿入曲でおそらく一番、有名な曲は『私の船』(マイ・ショップ)でアイラとワイル二人の代表作の一つになるそうです
精神分析をを主題としたこのミュージカルのなかで主人公の女性雑誌編集長が抱える心の悩みを解く鍵となる曲だったようですが理由はわかりませんが映画のなかではジンジャー・ロジャースが一節口ずさむ場面だけでしか使われなかったようです。
『スター!』のなかではジュリー・アンドリュースが歌っているようです。

挿入曲『ジェニー』(ジェニーの伝説)も有名だそうです。
また『チャイコフスキー』(チャイコフスキーとその他のロシア人)は50人のロシアの音楽家の名前が歌われるそうで初演の際はダニー・ケイがものすごい早口で1分足らずで歌い上げ話題になったそうです。
この後、彼はコメディアンとして有名になったそうです

映画『レディ・イン・ザ・ダーク』の音楽はロバート・E・ドーランが担当していてクルト・ワイルは直接、関与していないようです


『星空に消えて』 (ロスト・イン・ザ・スターズ)
『星空に消えて』 (LOST IN THE STARS)

『ニッカボッカーホリディ』の他にクルト・ワイルとマクスウェル・アンダーソンのコンビはブロードウェイミュージカルにもう一つ作品を残しています。(他にもコンビを組んだ作品があるかもしれません)
1949年の『星空に消えて』(ロスト・イン・ザ・スター)になります
クルト・ワイルは翌1950年に亡くなったためこの作品が彼の遺作になりました

原作 『叫べ いとしき国よ』(アラン・ペイトン著)
作曲 クルト・ワイル
作詞・脚本 マクスウェル・アンダーソン
演出 ルーベン・マムーリアン
出演 トッド・ダンカン、レズリー・バンクス、ウォレン・コールマン、イネズ・マシューズ、ジュリアン・メイフィールド、フランク・ローン、ジーラ・ガイズ、ハーバート・コールマン
曲名 「イクホポの山並み」(The Hills of Ixipo)
    「何千マイルも」(Thousands of miles)
   「 ヨハネスバーグ行きの列車」(Train to Johannesburg)
   「 灰色の小屋」(The Little Grey House) 
    「トラブル・マン」(Trouble Man) 
    「星空に消えて…」(Lost in the Stars)
    「どうか元気で」(Stay Well)
   「叫べ いとしき国よ」(Cry,the Beloved Country)
   「大きなモグラ」(Big Mole)
    「渡り鳥」(A Bird of Passage)
ミュージック・ボックス劇場 1949年初演 273回公演



南アフリカを舞台に主人公の黒人牧師、強盗に加わり誤って白人を殺してしまった牧師の息子、息子を殺された白人の父の物語が描かれているようです。
ワイルは「人種問題を人間の問題としてとらえたかった。われわれの住む世界に確かに存在しているこの悲劇は、白人も黒人も、金持ちも貧乏人も、若者も年寄りも、すべての人にとって悲劇なのだ」と述べています
詳しい内容はわかりませんが渡米後の第一作と思われる『ジョニージョンソン』は反戦ミュージカルのようですし『ニッカボッカーホリディ』も、当時の社会に対する批判・批評を織り込んだ作品でした

『ブロードウェイミュージカル』のなかでクルト・ワイルが《ブロードェイの演劇界に最も尊敬を集め影響を与えた作曲家の一人》と紹介されているのはその旋律だけでなくドイツ時代から遺作まで一貫して作品のなかで社会の矛盾や批評を取り上げ描いてきたからかもしれません。

なお『星空に消えて』は1972年にブロードウェイで再演されています。
また1974年には舞台で再演の際に黒人牧師を演じたブロック・ピータースを主人公に映画化されています
監督はダニエル・マンそして共演がメルバ・ムーアのようです。

初演の際演出を手がけたルーベン・マムーリアンは舞台演出でも足跡を残しているようですが映画監督としても知られています
私はグレタ・ガルボ主演の『クリスチナ女王』。そしてそのガルボが出演した『ニノチカ』をミュージカル化した『絹の靴下』を観ています。どちらも良かったと思います。

*前回の『ニッカボッカーホリディ』同様『ブロードウェイミュージカル』(スタンリー・グリーン著・ヤマハ出版) をかなりの部分参考にしています